2023年9月7日(木)

2023年9月7日(木)


『野生の創世記』

シカゴの繁華街に13年暮らした後で、ロッキー山脈という新しい環境になじむにはしばらく時間がかかった。
シカゴの隣人たちが恋しかった。

有名なラッパーを自称していた空き缶拾い、火をつけていない煙草を口にくわえ、コーヒーショップに一日中座っていた精神病患者、「僕には妻が必要だ!」と書かれた看板を持って、クラーク通りをうろうろしていた奇抜な男性。

新しい住まいからは、人間よりも動物のほうが多く見える。
わが家の裏手の丘ではエルクが草をはみ、キツツキが外壁の羽目板をつつき、妻にフォスターと名づけられたアカギツネが毎晩施しものを探しにやって来る。

この間はフォスターが網戸の外に座って、私が仕事部屋に壁紙を貼りながら流していたギャリソン・ケイラーのラジオ番組に耳を傾けていた。
ブルーグラスが流れている間、不思議そうに頭をかしげていたが、おおむね番組を楽しんでいたようだ。

転居してまもなく、聖書の通読を始めた。
創世記から読み始めたが、新しい環境で読むと、聖書は違った響きを帯びてくる。

創造の記事を読んだのは、雪の季節だった。
山々が朝日に輝き、純白の雪をまとったポンデローサ松は、どれも水晶のようにきらめいていた。

最初の創造の喜びが容易に想像できた。
後に神がヨブに語ったように、「明けの星々がともに喜び歌い、神の子たちがみな喜び叫んだとき」だ。

しかし、創造の記事を読んだその週、ドンという大きな音で読書に邪魔が入った。
小鳥が窓に激突したのだ。
V字型の尾で、両翼に山型の縞模様があるマツノキヒワだった。

雪の塊の上に腹ばいになって喘ぎ、嘴から血が滴り落ちていた。
小鳥はそこに20分間横たわり、まどろむように頭を上下させていたが、やがて立ち上がろうと最後の羽ばたきを試みると、頭を雪の中に落とし、死んでしまった。

悲劇が続き、私はその小さなものの目撃者となった。
昼のニュースは中東の殺戮やアフリカの流血を報じていた。
しかし、どういうわけか、一羽の鳥の死、窓ガラスの向こうで起きた死が、この日読んだみことばの重要性を痛感させてくれた。

それは、創世記2章と3章との間、楽園と堕落した被造物との間にある大きな裂け目の縮図と思われた。

God Bless You!!


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