2023年9月30日(土)

2023年9月30日(土)


『神を見えるようにすること』

2004年に南アフリカを訪れたとき、ヨアンナという素晴らしい女性に出会った。
彼女は黒人と白人のダブルで、「カラード」として知られるカテゴリーに入る。

学生時代にアパルトヘイトの変革を激しく論じ、その後、邪悪な体制が平和裏に崩壊するという、だれも予想しなかった奇跡を目にする。

彼女は後に、放映された「真実和解委員会」の審議の様子を夫とともに見た。
新しく見つけた自由にただ大喜びするだけでなく、ヨアンナは南アフリカで最も暴力的な刑務所の改善に取り組む決断をする。

ネルソン・マンデラが七年間過ごした場所だ。

体中に入れ墨を彫ったギャングのメンバーたちが刑務所を仕切り、新参者は気に入らない囚人に暴行を加えれば、ギャングの仲間入りを認められるという厳しいルールを課していた。

刑務官たちは、こうした「獣たち」が殴られ、殺し合う様子さえ、見て見ぬふりをしていた。

この若い魅力的な女性は、ひとりでその刑務所に毎日通い始めた。
赦しと和解のシンプルなメッセージを携え、マンデラやツツ主教が国家全体に影響を及ぼそうとしていたことを、小さな規模で実践しようとした。

スモールグループを作って信頼し合うゲームを教え、囚人たちに、恐ろしい思いをした子どものころの出来事を打ち明けさせた。

刑務所の訪問を始める前年、この刑務所には279の暴力行為が記録されていたが、翌年は二つだけになった。

ヨアンナのもたらした結果は強い印象を与え、BBCはロンドンからカメラクルーを送り、彼女に焦点を当てた一時間のドキュメンタリーを二本製作した。

ケープタウンの海岸通りのレストランで、ヨアンナと、活動を共にしてきた彼女の夫に会った。
ジャーナリストの性分から、私は何があの刑務所を変えさせたのか、具体的な答えを聞き出そうとした。

ヨアンナは口に運びかけていたフォークを持つ手を止めて、上を見ると、ほとんど何か考えた様子もなく言った。

「そうね、フィリップ。
神はすでにあの刑務所の中におられた。
私はただ、その神を見えるようにすればよかったのよ。」

ヨアンナの口から出たその言葉を何度も考えた。
あの一言は、神を知り、神に従おうとしている私たちだれにとっても、素晴らしいミニストリーの言葉だろう。

神はすでにおられるのだ。
最も思いがけないところに。
私たちはただ神を見えるようにすればよいのだ。

God Bless You!!


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