2023年9月25日(月)

2023年9月25日(月)


『複雑な赦し』

ネルソン・マンデラは、復讐ではなく赦しと和解のメッセージを携えて、26年の収監生活を終え、「恵みでないもの」の鎖を断ち切った。

F・W・デクラーク〔訳注=南アフリカのアパルトヘイト体制下最後の大統領で、アパルトヘイト廃止後の最初の副大統領。

アパルトヘイト関連法全廃に大きな役割を果たした〕は南アフリカの教会の中で最も小さく、最も厳格なカルヴァン主義の地盤から選出されたが、彼自身が感じたのは、後に「強い召命の感覚」と述べたものだった。

彼は教会員に、「神は南アフリカのすべての人を救うために私を召しておられます。
たとえそのことを白人たちが否定したとしても、です」と語った。

有色人種の指導者たちから、アパルトヘイトについて謝罪を求められ、デクラークは動揺するが、それは、アパルトヘイトの成立に父親が加担した過去があったからだ。

けれども主教デズモンド・ツツは、南アフリカの和解プロセスは赦しによって始まると信じ、その信念を貫いた。

ツツによれば、「私たちが世界に教えることのできる教訓、ボスニア、ルワンダ、ブルンジの人々に教えることのできる教訓があるとしたら、それは、私たちには赦す用意がある、ということです」。

そして、デクラークは謝罪をした。

多数派の有色人種が政治権力をもつ今、彼らは正式に赦しの問題を考えている。
大臣が政策を述べる言葉には、本当に神学的な響きがある。

彼は、だれかが被害者に代わって赦すことはできない、と言う。
被害者は自分自身のために赦さなければならないのだ。

そしてだれも全容を解明しないで赦すことはできない。
何が起きたのか、だれが何をしたのかがまず明らかにされなければならない。
また、その残虐行為を行った人々は、その行為が赦される前に赦しを求めなければならない、と。

南アフリカの人々は過去を忘れるために、着実に過去を思い起こしている。
南アフリカの人々が気づいているように、赦しは簡単でもなければ歯切れのよいものでもない。

人はドイツ人を赦しても、その軍隊に規制を設けるだろう。
幼児虐待者を赦しても、被害者たちから遠ざけるだろう。
南部の人種差別を赦しても、法律を施行して二度と差別が起こらないようにするだろう。

しかし、赦しがどれだけ複雑なものであろうが、ともかくこれを追い求める国は、少なくともその代替物———赦そうとしないこと———のもたらす恐ろしい結果を避けようとするだろう。

大量虐殺と内乱の場面の代わりに世界が見たものは、南アフリカの現地の人々が長く、ときには二キロ以上も続く列をなし、生まれて初めて投票する機会を得たことを喜び、「踊っている」光景だった。

God Bless You!!


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