2023年9月15日(金)

2023年9月15日(金)


『モスクワのジャーナリスト』

モスクワでの歓迎会は非常に礼儀正しいもので、私は落ち着かなくなった。

1991年のソ連は、ものすごい速さで変化していた。
ところが、無神論国家全体が一夜にしてキリスト教に好意を寄せたわけでないことは確かで、私は腹蔵なく意見を交わす対話を望んだ。

米国から来た19人のキリスト教指導者には、崩壊しつつある国でキリスト教がどんな変化をもたらし得るかという難問に答えてほしいと思った。

冷ややかで処しづらいソ連の記者たちが、そうした難題を寄こしてくることを十分に予想していた。

ところがその予想は的外れだった。
モスクワの記者クラブで起きたのは、次のようなことだ。

まず私たち北米のクリスチャンが、小劇場のスポットライトの当たったステージの席に着いた。
「プリズン・フェローシップ・インターナショナル」の、ふだんは無口なロン・ニッケルが、打ち解けた感じでこう口火を切った。

「ウィンストン・チャーチルは、刑務所を見れば、その社会がわかると言いました。
その基準からすると、ソ連も米国も悲劇です。
両国の刑務所は悲惨なものだからです。」

「私は世界中の刑務所に足を運び、社会学者、行動主義者、刑事司法の専門家たちと話をしてきました。
しかし、どうすれば囚人たちを変えられるか、だれも知りません。

でも私たちは信じています。
キリストが一人の人間をすっかり変えることができることを。
そして、そのあふれるほどの証拠を目撃してきました。

イエスご自身も囚人で、処刑されましたが、復活されました。
イエスのおかげで、今や多くの囚人が復活しつつあります。」

それからロンは、21年間に何十回も刑務所に戻った、インドのある囚人に言及した。

悪循環を断てずにいたその犯罪者は、キリストに出会って変わることができた。
法廷で彼の姿を見なくなったことを不思議に思った地元の判事が男の家を訪問し、何があったのかを尋ねると、元囚人は答えて言った。

「人生で初めて、私を赦してくれる人に出会いました。」

会場は静まり返り、その後「冷ややかで処しづらい記者たち」は、私が全く予想もしなかったようなことを行った。
一斉に拍手をしたのだ。

そして、次のような質問をロンに投げかけた。
「その赦しとは何ですか?」
「どうすればそれを見つけることができますか?」
「どうすれば神を知ることができますか?」

後に一人の記者が言った。
「ソ連の記者は囚人に対し特に好意的です。
記者の多くが服役を経験しているからです。」

God Bless You!!


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