2023年9月13日(水)
『拒絶された者』
遠藤周作という日本の作家の生涯は、その小説の筋書きとよく似ている。
満州で過ごした少年時代、彼は外国人であり、軽蔑される日本人占領者だった。
日本に引き揚げてから母親とともにカトリックに改宗すると、再び異邦人の苦しみを味わう。
クリスチャン人口は日本の人口の1パーセントにも満たない。
同級生たちは、西洋の宗教と関わっていることを理由に遠藤をいじめた。
第二次世界大戦が始まると、この疎外感はいっそう強まった。
遠藤にとって、西洋は常に霊の故郷だったが、その西洋人が日本各地を破壊しようとしていた。
戦後、彼はフランソワ・モーリヤックやジョルジユ・ベルナノス等のフランスのカトリック作家を研究するために渡仏する。
日本人初の交換留学生の一人であり、リヨンで唯一の留学生であったにもかかわらず、今度は宗教でなく人種のせいで拒絶される。
連合国は反日プロパガンダの大きな流れを確実に作り出し、遠藤は「日本人」を理由に、仲間のクリスチャンから侮辱の標的になった。
「つり目の東洋人」と呼ばれることもあった。
ヨーロッパでの研究生活を終えて帰国する前に、遠藤はイエスの生涯を研究するためにパレスチナを訪れ、そこで考えを一変させる発見をする。
イエスもまた拒絶を知っていたのだ。
それどころか、イエスの生涯は「拒絶そのもの」だった。
隣人たちに町を追い出され、家族から正気を疑われ、最も親しかった友人たちに裏切られた。
そして同じユダヤ人が犯罪者の命と引き換えに、イエスの命を差し出した。
イエスは一生涯を、拒絶されていた人々の中で過ごした。
自らの発見したイエスの姿に遠藤は衝撃を受け、目を開かれる思いがした。
日本という遠く離れた地点から見ていたキリスト教は、勝利するコンスタンティヌス帝の信仰だった。
遠藤は、神聖ローマ帝国やきらびやかな十字軍を研究し、ヨーロッパの大聖堂を称賛し、不名誉を感じることなくクリスチャンでいられる国に住むことを夢見ていた。
今や、その故郷で聖書を研究して理解した。
イエス自身が「不名誉」を避けていなかったことを。
イエス自身が、預言者イザヤによって描かれた、「苦難のしもべ」としてやって来た。
「彼は蔑まれ、人々からのけ者にされ、悲しみの人で、病を知っていた。
人が顔を背けるほど蔑まれ……。
まことに、ほかでもないこのイエスなら、遠藤自身が経験していた拒絶を理解できるのだろう。
God Bless You!!
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