2023年9月12日(火)

2023年9月12日(火)


『グラウンド・ゼロのオアシス』

救世軍から派遣された人たちは、希望者にはだれでもカウンセリングをし、共に祈ってくれる。
そして、ただそうしてもらいたくて、グラウンド・ゼロで真っ赤な「チャプレン」ジャケットを着た救世軍の人を人々は捜し求めた。

けれども、派遣されてそこに来たのは、何よりも人々の基本的な必要を支援するためだった。

煙で痛む目を洗い、荒れた唇用のリップクリームや、熱い鉄板上を歩き回るブーツの中敷きを提供する。
給水所や軽食の売店を出し、休憩所を提供し、焼き立てチキンをふるまった。

到着した日、働く人々が家に電話をかけられるよう、1500枚のテレホンカードを配った。
毎日7500食を用意した。
瓦礫の荒野にあわれみのオアシスを提供していた。

新聞に載っている地図を確認していたが、二次元の紙に描かれたもので破壊のスケールをとらえることはできなかった。

八街区にわたる建物は荒れ果て、窓ガラスは割れ、床を突き破った鋼の破片が道路から高く突き出ていた。
ファックス機や電話機やコンピュータのあった数多くのオフィスの中には何もなく、瓦礫が散乱しているばかりだった。

9・11。
そのとき人々はそこにいて、キーを叩き、電話をかけ、一杯のコーヒーを手に仕事を始めようとしていた……。
そして突然、世の終わりが来たかと思ったはずだ。

作業員たちの顔を見ると、一様に陰鬱な面持ちだった。
グラウンド・ゼロに微笑はなかった。
そんな場所で、微笑みなど浮かべられるはずもない。

そこにあるのは死と破壊だけだった。
人間が人間に得る最悪のことを後世に伝えていた。

世界貿易センターの跡地の向かいに空いたビルがあり、そこに三つのブースが作られていた。
「キリストの警察官」、「キリストの消防士」、「キリストの清掃作業員」

最後のブースは私が支援したいと思っている慈善団体だ。

救世軍のチャプレンによると、警察と消防はグラウンド・ゼロで一日に二回、祈りと礼拝の時をもってもらえないかと要望してきたという。

無宗派の組織である赤十字が、救世軍に援助を求めたとき、こんな答えが返ってきた。
「何をおっしゃいます。
私たちはそのためにここに来ているのです!」

God Bless You!!


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