2023年8月19日(土)

2023年8月19日(土)


『握っていた手をほどくこと』

シカゴの町中に住んでいたとき、合理的な寄付計画には当てはまらない、周囲の必要に気がついた。

妻は低所得のお年寄りたちに奉仕していたが、帰宅した彼女からたびたび、立ち退きを迫られたり電気を止められそうになったりしている人たちの、胸を引き裂かれるような話を聞いた。

百ドルぐらいあれば、彼らはもうひと月暮らしていけるだろう。
しかし、政府官僚や詳しい聞き取りをした慈善団体にそのような必要に迅速に対応するよう求めても埒があかない。

私たちは五十ドルから百ドル分の紙幣を封筒に入れ、「心にかけている者より」とだけ書いた無記名のメモをつけて、ドアの下にすべり込ませるようにした。

同封したお金が有効に使われる確信もなく、自分たちの時間と労力を評価する税金の領収書もないのに与える。

最初の数回はその行為そのものが冒瀆のような気がした。
しかし、そのような感情は真の冒瀆を暴露するものであることに、まもなく気がついた。

私の経済的観点は金銭を最高の価値として称揚する合理的なものだった。
私にはエリュールが提案していたように、金銭を冒瀆し、自分に対する金銭の呪縛を解く必要があった。

永遠の配当金を払う唯一の国、天国に投資するため神から託された貸付金という、金銭の本来の姿を理解する必要があった。

イエスは、貧しい人々に隠れて施しなさいと言われた。
「そうすれば、隠れたところで見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます」。

そして私は、正しいオープンエンド型投資信託を選ばなかったり、正しい保険を買わなかったりしたらどうなるかを警告する、テレビのきまじめな俳優たちのことを冷めた目で見るようになる必要があった。

『フォーチュン』誌やCNNの「ザ・マネープログラム」を、ポルノと同様に扱う必要もあった。
同じ影響を及ぼすことがわかったからだ。

金銭は情欲やプライドとよく似た影響をもたらす。
神託のような力でつかみ、決して満たされない幻想で私を魅了する。

そして金銭は情欲や高慢のように、私が決して「克服する」ことのない個人的な戦いの領域を提示する。
それは人格をもった力だ。
それはまさに神であり、イエスもそれをマモン神と呼ばれたのである。

God Bless You!!


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