2023年8月1日(火)

2023年8月1日(火)


『やあ、エバンジェリコス!』

海外から戻った後に『タイム』や『ニューズウィーク』に書かれている米国福音派の人物像を読むと、悲しくなる。
米国ではすべてのことが結局は政治に集約され、それはたいてい分断を意味している。

多くの米国人の見る福音派は、いくつかの道徳上の問題にこだわる、一枚岩の有権者集団だ。
福音という言葉は、世界の多くの場所で活気と熱情にあふれ、「良き知らせであること」を表すが、福音派はその本質をとらえそこなってい る。

アフリカの福音派は囚人に食べ物を差し入れ、エイズ孤児の面倒を見、アフリカの指導者を多く輩出するミッションスクールを運営している。

アフリカやアジア、ラテンアメリカの福音派は、現地の人々がミシンや鶏を買えるよう、零細企業向け融資制度を設けている。

過去50年、福音派の団体が支える米国人宣教師の割合は、40%から90%に上昇している。

ブラジルのサンパウロにあるスペイン語使用地区を訪れた私の友人は、麻薬密売組織の手先が自動小銃を抱えて近隣地域をパトロールしているのを見て不安を覚えた。

通りは徐々に狭くなり、未舗装の道になった。
プラスチックの水道管が頭上にぶらさがり、ひとかたまりのワイヤーが高圧線から電気を引いていた。

汚水の悪臭が立ち込めていた。
自分の縄張りに怪しい外国人が侵入して来たが、あいつは麻薬取締官か、それとも秘密捜査員か。

そんなふうにブリキの掘っ立て小屋からにらみつける目を見て、不安はいっそうつのった。

ところが友人のTシャツの背中に地元のペンテコステ教会のロゴを見つけた組織のボスは、渋面を満面の笑みに変え、「やあ、エバンジェリコス!」と叫んだ。

同教会がスペイン語地区の住民の生活を長年助けてきたため、外国からの訪問者も、いま大歓迎されたのだ。

米国でも、主流派のプロテスタント教会が衰えても、福音派は栄えている。
社会問題と取り組む目的で、第二次世界大戦以降、500ものキリスト教団体が生まれたが、その多くに福音派の職員がいる。

シカゴ郊外のウィロークリーク・コミュニティー教会と、南カリフォルニアのサドルバック・コミュニティー教会をベースとするメガチャーチは、主要都市にも生まれている。

所属を見極めにくい「新興教会」は、ポストモダン世代への伝道を展開している。

最近のある調査によると、米国で急成長を遂げている上位100の教会中93が、福音派を名乗っている。

God Bless You!!


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