2023年7月8日(土)

2023年7月8日(土)


『神の考案されたセックス』

現代の都市でセックスがこれほど幅を利かせているのは、なぜだろうか。
ファッション、ビルボード、市バスの側面を飾る広告に顕著なのは、裸のジャングルにも決して見られないような性的関心だ。

フランスの社会学者ジャック・エリュールは、セックスに対する現代の執着を、親密さの崩壊の症状ととらえている。

セックスの物理的行為を関係性から切り離してしまったため、私たちにできるのは、一生懸命「テクニック」を完璧にしようとすることだけなのだ。

それゆえ、セックスの研究、セックスマニュアル、セックスのビデオは増える一方だが、その中に私たちの痛みの真の源に注意を向けているものは一つもない。

しかし、もう一つの世界をささやく声も入り込んでいる。
洗練された現代人の生活には、超越した存在がないことが多い。
彼らは教会を避け、科学が宇宙の謎をほぼ解明したと信じている。

しかしセックスは、還元主義の普通の原理にはあてはまらない謎だ。

性欲を満たせば、さらに欲しくなる。
どれほど知識が豊富でも、性欲の魔法は少なくならない。

ヌーディストでさえ、ヴィクトリアズ・シークレットの下着を身に着けた妻に声をかけられたら興奮する。

社会がその神々もしくは神への信頼を失うと、より劣った力が生じ、神の地位に取って代わる。
憧れは遮られると、新しい道を模索する。

G・K・チェスタトンは言った。
「売春宿のドアを叩く男は、みな神を探し求めている。」

現代ヨーロッパや合衆国では、セックスは神秘的で超自然的な力のある、神聖に近い性質をもっている。
私たちは自分にとって最もセクシーな人たちを選び、神や女神の称号を与え、その生活ぶりをもてはやし、肉体のデータを公に知らせ、カメラで取り巻き、報酬として金と地位を与える。

セックスはもはや超越的なものを指し示してはいない。
セックスは物そのものになり、神聖なものの代用品となっている。

ところが、教会が上品ぶって、人間の性欲の創造者であり創始者である御方を指し示す、超越的なものを力強く伝えるささやきを黙らせてきたのは、なおいっそう悪いことなのかもしれない。

創造主は、大方の現代人の想像をはるかに上回る意味を性欲に込められた。
私たちは実際、抑圧と否定によって性欲を神聖視してこなかった。
そうしながら不器用に抑え込もうとすることで、虚偽の神が公に権限をもつようになった。

性的な力は存続するが、その中にそれを設計した神を指し示すものを見る人は、無きに等しい。

God Bless You!!


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