2023年7月4日(火)

2023年7月4日(火)


『政治にできないこと』

2008年、デンバーで民主党大会が開かれる三か月前に、国の昼食祈禱会で話をした。
祈りに注意を集中させているその場所で、米国を新しい方向に導き、過ちを正す、と政治家たちがすぐに次々と約束を口にする。

目の前に集まっている指導者たちに何を語るべきかを考えていたとき、現代ドイツの哲学者ユルゲン・モルトマンの言葉を思い出した。
民主主義はその市民に、民主主義が提供することのできない性質のものを要求する、という一節だ。

政治家たちは、健全で自由で繁栄する社会という高尚なビジョンを掲げることができるが、それを下支えするはずの正直さ、あわれみ、個人的責任感等の性質は、どんな政府も提供することができない。

幸いにも、米国では共和党・民主党どちらの陣営の政治家も、信仰が健全な社会に果たす力強い役割をまだ認めている。

信仰をもつ人々は、別種のビジョンを掲げる役目を担っている。
地球は神の星であって、私たちの星ではなく、この星を修復できないほど傷つければ、神は泣かれるのだ。

また、人の価値は、見た目や収入、民族的背景、市民権の状態ですらなく、神からの神聖な、侵すことのできない贈り物として与えられる。

あわれみと正義———イエスの言葉によると、「わたしの兄弟たち、それも最も小さい者たち」への配慮———は、政治家や社会学者の同意する恣意的な価値観ではなく、私たちを人間という種に造られた神からの聖なる命令である、と。

クリスチャンが常にそのビジョンどおりに生きているわけでないことは、一も二もなく認めよう。
この世と次の世、この人生と次の人生、その双方に関心をもち続けるのは難しい。
最終目的地について語るより、旅をしている間の生き方を語るほうがはるかに多いことを覚えるべきだ。

神に対してだけでなく、神の創造物と、神の子どもたちに対しても献身する人々を、世界は必要としている。
そして来たる世に対するように、この人生にしっかり関心をもつ人々、神の国と同じように地上の国に献身する人々が必要とされている。

ユルゲン・ハーバーマスが言うように、自由な人間による民主主義は、その市民に必要な性質を別のところに探さなければならないからだ。

God Bless You!!


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