2023年6月9日(金)

2023年6月9日(金)


『分かち合う苦しみ』

苦しんでいる本人には、ときに無意味に思われる苦しみも、私たちには意味がある。
こう確信させることが、苦しむ人に唯一差し出すことのできる苦しみの意味だ。

妻はシカゴ市で最も貧しい人々に奉仕し、そして、世話をする人のいない見捨てられた孤独な高齢者を探し出すという、ラサール・ストリート教会のプログラムを任されていた。

「あなたが生きるか死ぬかは私にとって重要なのですよ」と妻がお年寄りに一生懸命説得しているところを一度ならず目撃した。

妻はそんなふうにして、彼らの苦しみに「光を当てている」。

ジャネットが世話をしていた90歳のクルーダー氏は、白内障の手術を20年間も拒み続けていた。
70歳の時に、これといって見るべきものもないし、ともかく神が白内障を起こさせたなら、それが神のお望みなのだと決め込んだ。

若いころ、女の子たちに目を向けていた罰を神が与えているのかもしれない、とも言った。

妻は二年かけて、うまくおだて、議論し、食い下がり、愛情を示し、クルーダー氏にうんと言わせることができた。
それができた理由はただ一つ、彼が視力を取り戻すことがジャネットに大切であることを印象づけたからだ。

クルーダー氏は人生をあきらめていた。
もはや人生に何の意味もなかった。

しかし、ジャネットが意味を運んできた。
92歳のクルーダー氏があきらめないことが、だれかにとって意味があったのだ。

この老人はついに手術を受けると言った。

ジャネットはクルーダー氏の苦しみを、文字どおり分かち合っていた。
何度も訪問して、だれかが心にかけてくれていること、彼の生き死にも、視力を得るか否かも重要であることをクルーダー氏に確信させた。

苦しみを分かち合う原理は、ヘンリ・ナウエンの『傷ついた癒し人』のテーマであり、ひょっとすると、苦しみの意味に私たちが唯一貢献できることなのかもしれない。

苦しみを分かち合うことにより、私たちは、やはり痛みをその身に負われた神の例に倣う。
神は私たちの一人となり、多くの人が知る以上の苦しみと貧困の人生を生きられた。

苦しみは最終的に無意味ではあり得ない。
神が分かち合ってくださったのだから。

God Bless You!!


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