2023年6月8日(木)

2023年6月8日(木)


『ダイヤモンドの採掘』

率直な話、答えようのない「なぜ」という疑問にばかり取り組んでいると、多くの痛みは無意味なままではないかと考えるようになる。

友人宛ての手紙に、何気なくスターリンを批判する言葉を書いただけで、ソルジェニーツィンはなぜ過酷な労働収容所で八年も過ごさねばならなかったのか。

狂気の独裁者の気まぐれを満足させるために、なぜ何百万ものユダヤ人が死ななければならなかったのか。

そのような苦しみはそれ自体無意味であり、鉱脈にダイヤモンドを探すように、苦しむ人がそこに意味を見つけないかぎり、無意味なままなのだ。

ヒトラーの収容所に収監されたヴィクトール・フランクルは、「絶望とは、意味もなく苦しむことだ」と言った。

フランクルとブルーノ・ベッテルハイムはホロコーストの無意味な苦しみから、意味を引き出した。
収容所の極限的状態に置かれた人間の行動を観察し、後の仕事の基盤となる洞察を与えられたのだ。

エリ・ヴィーゼルらは、「証言すること」に意味を見いだした。
この人たちは、犠牲者たちが忘れ去られぬよう力を尽くしている。

ドストエフスキーは収容所で、新約聖書や聖人たちの生涯を夢中になって読んだ。
彼にとって、また後に同郷のソルジェニーツィンにとって、収容所は信仰をもたらす源泉となった。

二人ともそのプロセスをこう描いている。

まず人間の悪という紛れもない現実に直面し、贖いの必要を確信させられる。
その後、収容所の信仰者たちの生きた証しを通して、人が変わり得ることを知るのだ。

ソルジェニーツィンの古典『イワン・デニーソヴィチの一日』には、神を信仰すれば収容所から出られるわけではないが、少なくともその日その日を生きてゆけることが、優雅な筆致で描かれている。

こうした開拓者たちと比べれば、私自身の苦しみなど他愛もないものだが、私もまた苦しみから意味を引き出そうとしている。
出発点は、苦しみが自分の中に価値あるものを生み出し得るという聖書の約束だ。

ローマ人への手紙5章にパウロの記した忍耐、練られた品性、希望、救いの確信を読み上げる。
「苦しみがどのように、これらを作り上げるのか」と自問する。

苦しみにあうと、歩みが遅くなり、神に向かわされ、忍耐力や落ち着きが生まれる。
苦しみは私の内なる強さに呼びかけ、それによって練られた品性が生まれる。

神がどのように入り込んで、苦しみのプロセスに意味をもたらされるか、パウロの挙げた言葉について考え続ける。

God Bless You!!


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