2023年6月5日(月)

2023年6月5日(月)


『抗議の終焉』

マーティン・ルーサー・キングには弱さもあったが、一つ正しいところがあった。
困難も自己保存の本能もものともせず、平和をつくるという原則に真実であり続けたことだ。

彼は殴り返すことがなかった。
ほかの人々が復讐を求めたとき、キングは愛を求め警棒や消火用ホースを手に、うなり声をあげる警察犬を従えた保安官の前で、公民権運動のデモ隊は、わが身を危険にさらした。

そうしたことが、長く待ち望んだ勝利をもたらした。

歴史家は、ある出来事をきっかけに、公民権運動の大義は、一定数の国民の支持を獲得することができたと言う。
それはアラバマ州セルマ郊外の橋の上で、保安官ジム・クラークが部下の警官たちに、丸腰の黒人のデモ行進者たちに発砲させた事件だ。

米国の大衆は、暴力的な不正の行われる場面に恐怖を覚え、やがて公民権法案通過に賛成する。

私はアトランタの、マーティン・ルーサー・キングのいた町の反対側で育った。
恥ずかしながら告白すると、キングがセルマやモントゴメリー、メンフィスなどで行進を率いていたとき、警察犬を従え、警棒を手にした白人保安官たちの傍らにいたのである。

キングの道徳上の欠点にいち早く飛びつきながら、自分の隠された罪はなかなか認めようとしなかった。
だが、自分の身体を標的にすることはあっても、決して武器として使おうとはしない、揺るがぬ信仰をもったキングを見て、私の道徳の硬いマメは砕け散った。

キングは口癖のように言っていた。
真のゴールは白人を打ち負かすことではなく、「抑圧する者の中に恥の意識を目覚めさせることであり、また抑圧者の間違った優越意識に挑むことだ。……目的は和解だ。
目的は贖いだ。
目的は大切なコミュニティーを作り上げることだ」と。

そしてそれこそ、マーティン・ルーサー・キングが最終的に、私のような人種差別主義者の中においてさえ引き起こした変化なのだ。

キングも、ガンジーと同様、殉教した。
彼の死後、いっそう多くの人が、正義を要求する手段として非暴力による抗議の原則を取り入れ始めた。

フィリピン、ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア、東ドイツ、ブルガリア、ユーゴスラビア、ルーマニア、モンゴル、アルバニア、ソビエト連邦、ネパール、チリにおいて、五億を超える人々が非暴力によって抑圧の軛を断ち切った。

こうした場所の多く、とりわけ東欧諸国では、キリスト教会が先頭に立った。
抗議者たちは蠟燭を手に賛美歌を歌い、祈りながら通りを行進した。

ヨシュアの時代と同じく、壁は音を立てて崩れたのである。

God Bless You!!


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