2023年6月30日(金)

2023年6月30日(金)


『もう一つの山』

親愛なるジャネット

コロラドに暮らす僕たちは山登りをする。
次第にわかってきたのが、登山とは、一方の足をもちあげて、もう一方の足の前に置く作業だ。
どれだけ呼吸が苦しくても、どれだけ足が痛んでも、やがては頂上に着く。

リフトに乗るような結婚もあるかもしれない。
でも君と僕は山登りをしてきた。
結婚は愛に基づくものであるが、その愛は、親やキリストの弟子に求められるような愛であることを共に学んできた。

一歩一歩、一足一足、とにかく前進しようという決断の連続だ。
だから結婚生活300ヶ月を記念するきょう、こんなに良い気分なのだろう。

別々の人生を歩もうかと考えたこともあった。
結婚カウンセリングも受けた。
苦労を重ねてきた。

でもきょう、何より思い浮かぶのは———へりくだって神に感謝して言うのだが———そうした戦いから、大いなる善が手に入ったということだ。

田舎の南部を離れ、恐る恐るシカゴの繁華街に引っ越し、いろいろな国に出かけたが、二人でどこへ行っても、君はそこに適応して大きく成長しながら、だれの成長をも妨げない。

君のそんなところが大好きだ。

シカゴで暮らした12年間、君は高齢者に奉仕するプログラムで働いた。
浴槽で足を滑らせ、3日後にようやく助けが来るまで横たわっていた女性。
死と向き合う年老いた売春婦たち。

君だけが彼女たちのために胸を痛めていたね。

おんぼろ車で暮らしていた5人家族。
あの人たちは君の子どもになり、君は一生懸命彼らの面倒を見ていた。

そして今、君はホスピスで働いている。
解消されることのない緊張感、兄弟姉妹間の争い、患者がこん睡状態に陥り、死を待つようになったときにあらわになる、赦されていない傷。

君はこうした人々にカウンセリングをし、話に耳を傾け、一緒に祈っている。

君の技術には驚嘆するが、忘れられた人々や苦しんでいる人々のため、君がその技術をささげる決断をしていることへの驚きのほうが、はるかに大きい。

多くの人に知られる環境で書いている僕のほうが、たたえられることが多い。
けれども人生の最後になって、僕の果たしてきたことの中で、君の働きを助ける環境を提供したことが、神様にとっては何よりも意義深いと思うことだろう。

二人で山を登ってきた。
君と僕とで。

[7月1日へ続く]

God Bless You!!


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