2023年6月27日(火)

2023年6月27日(火)


『ソフトパワー』

私の育った南部のファンダメンタルな教会では、あからさまな人種差別主義、共産主義の黙示的恐怖、国第一の愛国主義を教えていた。

読書が隙間から光を呼び込み、別の世界を見る窓を開けてくれた。
『アラバマ物語』のような穏やかな本が、友人や隣人たちのもつアパルトヘイトの考えを疑わせる影響を覚えている。

後に『私のように黒い夜』や『マルコムX自伝』、マーティン・ルーサー・キングの『バーミンガム刑務所からの手紙』を読んだとき、自分の世界が崩れ落ちるのを感じた。

一人の心が、薄っぺらになった木材チップの一片だけで他者の心に突き刺さる力を経験した。
特にものを書く仕事のもつ、自由を強化するところを価値あるものと思うようになった。

通っていた教会の説教者は、大きな声で話し、感情を楽器のように操ることができた。
けれども、一人部屋にいて、ページをめくるたびに、神の国の別の代表者たちに出会った。

C・S・ルイス、G・K・チェスタトン、聖アウグスティヌスらだ。

彼らの静かな声は時代を超えて、律法だけでなく恵みも知るクリスチャンが、さばきばかりでなく愛も知るクリスチャンが、情熱ばかりでなく理性も知るクリスチャンがどこかにいることを確信させてくれた。

私が作家になったのは、言葉の力を経験したからだと思う。
本来の意味が捻じ曲げられて台無しにされた言葉も、再生され得ることを知った。

書かれた言葉が岩の隙間に入り込み、密封された箱に囚われている人々に霊の酸素を届けられることを知った。

神が自己表現の本質を私たちに伝えるとき、それを「ことば」と呼ばれたことを知った。
「ことば」は自由を強化する方法として、想像し得るかぎりにおいて最高のものだ。

私たちはある種の暗黒時代に入っているのかもしれない。
悪魔が電波を所有し、実質的な現実とマルチメディアDVDの眩惑とを比べれば、言葉は灰色にかすんで見える時代になっているのかもしれない。

だが、私には希望がある。
教会史には異常事態と権威主義が見られるが、それでも真理の言葉は生き残り、個々人や全体の文化を変える生きた力として、後に姿を現した。

私は言葉の力を経験してきた。
ますます抑圧的になっている時代に、言葉が自由を強化するとき、言葉が解放を与えるとき、最大の影響を及ぼすことを教会が思い起こすよう、祈っている。

God Bless You!!


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