2023年4月19日(水)

2023年4月19日(水)


『国家の重み』

日本を訪れたときのことだ。
その夜遅く、私は東京でも大きい教会の、ある牧師の書斎にいた。

その日の朝、飛行機で日本に着き、いくつもの集会に出る過密スケジュールをこなした後だった。
一刻も早くホテルにチェックインして横になりたかったが、おもてなしを大切にする日本で、この表敬訪問をはずすわけにはいかなかった。

牧師は一束の書類を引っ張り出すと、通訳を介して、牧師人生においてこの問題に悩みながらも、人に話すことを恐れていた、と言った。

それから二十分、牧師は抱えてきた苦悩を打ち明けてくれた。
イエスを受け入れていない99%の日本人は、みな地獄の火で焼かれてしまうのかと苦悶してきたという。

人は死んだ後にセカンドチャンスを与えられると信じている神学者たちの話を聞いていたし、イエスがハデスの人々にみことばを宣べ伝えるというペテロの手紙第一の神秘的なくだりも知っていた。

また万民救済論を信じているらしい神学者の著作も読んでいたが、聖書には、それと違う説明をしている箇所もある。

この牧師に何らかの希望を差し出すことができるだろうか。
私は思いつくまま、神は正しい者の上にも正しくない者の上にも等しく太陽を昇らせる御方であり、だれひとり滅びることを望んでおられない、と言った。

神の御子は、地上で最後に力を振り絞り、ご自分に敵対する者たちのために祈りをささげられた。

私たちは、C・S・ルイスの興味深いファンタジー『天国と地獄の離婚』に描かれている地獄のことを論じた。
死後にセカンドチャンスを与えられながら、それでもキリストを信じなかったナポレオンのような人々が登場する。

最後の最後まで拒絶する人々に向かって、神は仕方なく「汝の望むごとくなるように」と言われるのだ。

私は牧師に言った。
「あなたのご質問に、私は答えられません。
でも、最後の時に神の御前に立って『あなたは不公平です!』などと言える人はいないと確信しています。
歴史はどのようになっても、あわれみを加味した正義の側に落ち着くことでしょう。」

ヨブのように、私も観察や議論ではなく出会いによってその結論に到達した。
「神様はきっとこんな世界で私が疑いをもつ気持ち、わかってくださるわね?」

オランダ人エティー・ヒルサムはナチスの強制収容所からそう尋ねた。
神はわかってくださると私は信じている。

それは、私たちに対する神の啓示について、まさにそうした問いかけを雄弁に表現する言葉があるからだ。

God Bless You!!


a:17 t:1 y:0