2023年12月12日(火)

2023年12月12日(火)


『捨てられた恋人』

多くの人が神について、重力の法則にも似た、感情のない力のイメージを抱いている。
ホセア書が描いているのは、その反対とも言えるような、情熱と激しい怒りと涙と愛をもつ神、イスラエルの拒絶を嘆き悲しむ神だ。

神はホセア個人の不幸な話を用いて、神ご自身の二方向に激しく揺れ動く感情を表現しておられる。
イスラエルを見いだしたときの初めのはにかむような愛は、荒野でぶどうを見つけたときのようだと神は言われる。

けれども、イスラエルに幾度となく信頼を裏切られると、神は、傷ついた恋人が受けるひどい恥辱に耐えなければならなかった。

神の言葉には、驚くべきことに、自己憐憫のような響きがある。
「わたしはエフライムにはシミのようになり、ユダの家には腐れのようになる」。

捨てられた恋人という強力なイメージは、ホセア書11章で、神がかくも動揺している理由を表している。

神はイスラエルを消し去る準備をしておられる———待て、いま神はむせび泣き、両手を差し出しておられる———いや、神は再びさばきを宣言される。

そのような気持ちの変化を経験するのは、恋人に捨てられた人間だけだ。

人間の感情の中で、裏切られた思いほど強烈なものがあるだろうか。
ボーイフレンドが自分を捨て、可愛いチアリーダーのもとに走った女子高生に尋ねてみるといい。

ラジオをカントリーウェスタン局に合わせ、恋人の不誠実さを綴る歌詞に耳を傾けてみればいい。
新聞が日々報じている殺人事件を見れば、恋愛関係のこじれが発端となっている場合のなんと多いことか。

ホセアと神は、心底愛している人に全く相手にされなくなった悲哀を鮮明に描き出している。
全能の神ですら、人間に愛を強制することはできないのだ。

ホセア書のどの章にも、神の民の「売春」や「姦淫」について語られている。
愛する御方である神は、愛する花嫁をご自分だけのものにしたいと願っている。

それなのに驚くべきことに、その恋人に背を向けられても、神はあきらめない。
進んで苦しむ。
いつか彼女が変わることに望みをかけている。

ホセア書が明らかにしているのは、神は、罰したいと願っている御方ではなく、愛したいと思っている御方であることだ。

God Bless You!!


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