2023年12月1日(金)

2023年12月1日(金)


『天国がなかったら』

人類学者たちによると、どんな人間社会も死後の世界を信じていた。
それでは死後の世界を信じていなければ、社会はどのように見えるのだろうか。

あれこれ想像を巡らせたところ、次のような結論に至った。
『エレホン』の著者サミュエル・バトラーに謝罪しつつ、アメリカを逆に綴った社会、カリメアを考えた。

カリメアは何より若さを重視する。
そのため、若々しさという幻想を保持するものはすべて繁栄する。
国民全体がスポーツに夢中で、雑誌の表紙を飾るのは、しわ一つない顔と見事な肉体だ。

カリメア人は当然、老齢に価値を見いださない。
老人は人生の終わりを思い出させる不愉快な存在であるからだ。

かくしてカリメアの健康産業は、脱毛治療、スキンクリーム、美容整形など、加齢という死の前触れの影響を周到に隠す手段の売り込みに余念がない。

高齢者が一般市民から隔離されて、専用住宅に閉じ込められているのは、カリメアの特に非情なところだ。

カリメアは「実質」より「イメージ」を強調する。
たとえば減量目的のエクササイズやボディービルは、異教徒にとっての礼拝儀式並みに尊ばれている。

均整の取れた肉体が、この世界での成功を視覚的に証明するが、あわれみ、自己犠牲、謙遜等の漠然とした心の性質は、称賛に値しない。

カリメアで障がい者や醜い人が不利な競争を強いられるのは、不幸の副作用だ。

カリメアの宗教には死後の報いを考える原理がないため、今、ここでいかにうまくやるかにのみ焦点が絞られる。
カリメア人の中で今も神を信じている人たちは、地上で健康と繁栄に恵まれることが神に認められることだと思っている。

カリメア人牧師らは「福音主義」を追求したこともあったが、今では精力のほとんどを仲間の市民の福祉の向上にささげている。

カリメア人は何十億ドルもかけて、高齢者の身体を生命維持装置につなぎとめる一方、堕胎を許可し、奨励すらしている。

これはそれほど逆説的ではない。
カリメア人は、人間の人生は誕生に始まり、死をもって終わると信じているからだ。

このような社会は想像するだけでぞっとする。
私は古き良きアメリカに住んでいることがとても嬉しい。

ジョージ・ギャラップが断言しているように、アメリカ人の圧倒的多数が死後の世界を信じているからだ。

God Bless You!!


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