2023年1月21日(土)

2023年1月21日(土)


『イエスと嵐のノーマン』

シカゴのラサール・ストリート会のクラスで八つの幸いを教えることになったとき、いつもどおり、イエスを描いた映画を前もって見ておくことにした。

15本の映画から授業に使う部分を探し当てて鑑賞するのに、毎週数時間を費やした。
作業のほとんどは、ビデオデッキが適当な場面を出すのに早送りや巻き戻しをする間、待っていることだった。

機器がキュルキュル回転したり、カチツと音をたてたりしながら目当ての場所に向かって作動している間、退屈しのぎにテレビ画面の前景でCNNを流していた。

たとえばセシル・B・デミルの『キング・オブ・キングス』(1927年)で8分20秒のマークがついている箇所を目指してビデオが勢いよく動いている間は、世界各地の最新のニュースを見る。

そして「再生」ボタンを押すと、一世紀のパレスチナに逆戻りするという具合だった。

私が八つの幸いについて教えた1991年のその週、世界では多くの出来事が起きていた。
湾岸戦争では、わずか100時間余りの地上戦で、多国籍軍がイラクに対して圧倒的勝利をおさめた。

長い間恐れられていた戦争があれほど迅速に終結し、米国人戦士者も非常に少なかったのは、たいていの米国人と同様、私にも信じがたいことだった。

イエスの映っている映画をデッキが探している間、画面ではいろいろな解説者がチャートや地図を使って、クウェートで起きたことを正確に説明している。

そしてノーマン・シュワルツコフ司令官が現れた。

CNNは予定されていた番組の中断を告げた。
戦争から一夜明け、軍指揮官の記者会見が実況中継されるということだった。

私はしばらく授業の準備を続けた。
パゾリーニ版の八つの幸いを説くイエスを5分間見て、それからシュワルツコフ版のクウェートの町に迫る多国籍軍の様子を数分間見た。

だがすぐにビデオにはまったく目を向けなくなっていた。
「嵐のノーマン」の異名を取るシュワルツコフには、抗しがたい魅力があったのだ。

彼はイラクの精鋭共和国護衛隊「回避策」や海からのおとり作戦、多国籍軍は妨害されることなく一路バクダッドに向かうことが可能であること等について語った。

またクウェート、イギリス、サウジアラビアその他、多国籍軍に参加している国をすべて信頼していると言った。

シュワルツコフは、自らの使命に自信をもち、またそれを実行に移した兵士たちをこの上なく誇りに思う司令官として、華麗なパフォーマンスを繰り広げていた。

私は、「これこそ戦争を指揮するにふさわしい、われわれの望む人物だ」と思ったのを記憶している。
(1月22日へ続く)

God Bless You!!


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