2023年8月26日(土)

2023年8月26日(土)


『正義を超えて』

[8月25日の続き]

ある聴聞会で、バンデ・ブロイクという警官が、ほかの警官たちとともに起こした事件について詳述した。
彼らは十八歳の少年を銃で撃ち、その遺体を燃やしたのだった。

八年後、バンデ・ブロイクはその同じ家に戻って来て、今度は少年の父親をつかまえた。
警官たちが夫を材木の山に載せて、体にガソリンを浴びせ、火を放つのを、妻は無理やり見せられた。

長男と夫を失った老いた女性に発言の機会が与えられると、法廷は静まり返った。
「バンデプロイク被告に何を望みますか。」

判事が尋ねた。

女性はバンデ・ブロイクに、「夫の体を焼いた場所に行って灰を集めてほしい。
そうすればきちんと埋葬してやれるから」と言った。

警官は頭を垂れ、うなずいた。

それから彼女はさらに要望を加えた。
「私はバンデ・ブロイクさんに家族全員を奪われました。
でも私にはまだ愛がたくさん残っています。

彼には月に二回ゲットーに来て、私と一日を過ごしてもらいたいのです。
そうすれば私はブロイクさんの母親のようになれます。
そして、バンデ・ブロイクさんが神に赦されていること、そして私も彼を赦していることを知ってほしいのです。

ブロイクさんを抱きしめたいのです。
そうすれば私の愛が本物であることがブロイクさんにわかるでしょう。」

この女性が法廷の証人台に向かって歩きだすと、だれかが「アメイジング・グレイス」を歌い始めた。
しかしバンデ・ブロイクには聞こえなかった。
感極まって気絶していたからだ。

正義の裁きはその日、南アフリカで行われなかったし、真実和解委員会による何か月ものたいへんなやり
とりの間も、この国に正義の裁きが下ることはなかった。

しかし、正義を超越した何かが起きた。

パウロは言った。
「悪に負けてはいけません。
むしろ、善をもって悪に打ち勝ちなさい」。

ネルソン・マンデラとデズモンド・ツツは、悪がなされたとき、悪に打ち勝つ対応が一つだけあることを知っていた。

報復は悪を永続させる。
正義は悪を裁く。
悪は、傷ついた側がそれを吸収し、それ以上の働きをさせないようにするとき初めて、善によって克服される。

そして、それこそイエスがその生と死において示された、もう一つの世界における恵みの型なのだ。

God Bless You!!


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