2023年7月1日(土)

2023年7月1日(土)


『頂上からの眺め』

[6月30日の続き]

昨年、出向いた先のオレゴン州ポートランドで、自由時間の使い方をあれこれ考えた。

コロンビア川渓谷沿いに車を走らせ、滝をうっとり見つめる。
ライトレールで繁華街に出て、オイスター・シチューを食べるのもいい。
歩行者天国をぶらぶらして、カプチーノスタンドに寄る手もある。

結局、ホテルの部屋でルームサービスを頼み、原稿書きに勤しんだ。

妻と生活を共にすること四半世紀、自分ひとりで楽しむことが難しくなった。
離れているときは、ワーカホリックのように仕事に打ち込むほうがいい。
わくわくする瞬間は、私の感性を呼び覚ましてくれた妻と分かち合うまでお預けにしたい。

ポートランドの薔薇や石楠花(シャクナゲ)に心を留めることを教えてくれたのは、君だった。
小川や滝が見えると、君は水辺に足を延ばして靴を脱ぎ、つま先で水の冷たさを確かめていたね。

道端の屋台で車を停め、新鮮な桃やラズベリーを買うことも君に教わった。
それを教えてくれた君のいないところで、そんな楽しさを味わうのは裏切りのような気がする。

結婚する前は、相手の望むような人間になろうと、どちらも必死だ。
若い女性は魅力的に見せようと努め、スポーツに興味をもとうとする。
若い男性は植物や花に注意を向け、そっけなく答えるだけでなく、できるだけ質問もする。

ところが結婚すると、その動きは適当になり、やがて減っていく。
それぞれが自分の権利を主張し、どちらも自分を曲げて相手の意思に沿おうとはしなくなる。

ところが何年か経つと、その流れが再びかすかに反転する。
相手の望むほうに喜んで自分を曲げようとする思いが生まれてくるのだ。

二人とも成熟し、今回は相手をつかまえようとする欲求からではなく、四半世紀を分かち合ってきた相手を喜ばせたいとの思いから、そうする。

この段階に達する前に別れてしまう夫婦のことを心から残念に思う。
世のならいとして、私たちにも危機は忍び寄ってきたが、この中年期もそれほど悪いものではない。

私たち夫婦は世界に対しても、お互いに対しても自然体でいられる。
人生に求めるものを二人で探ってきた。

到達した結論の一つは、私たちは互いを必要としているということだ。
山頂からの眺めは実に美しい。

God Bless You!!


a:22 t:1 y:0