2023年10月25日(水)

2023年10月25日(水)


『それ以上のことを切望すること』

聖書に雅歌があることに驚く人たちは、伝道者の書を読んで打ちのめされるかもしれない。

「空の空。すべては空」。
この希望が全くない文書を記した著者はそう叫ぶ。

伝道者の書は著者の名前に言及していないが、ソロモン王が著者であることをほのめかしている箇所は多い。
ソロモンが著者でなくても、ソロモン王からインスピレーションを得て書かれたことはにおわせている。

語っているのは、この世で最も裕福で知恵のある有名なこの男、望むかぎりの享楽を尽くす男だ。
この男「伝道者」は、結局、後悔と絶望に崩れ落ちる。

自分は人生を無駄にした、と。

3章がこの書を要約している。
時について書かれた優雅な詩に始まり、そこから人生についての熟考へと進んでいく。

伝道者が生きる意味を探究しているのだ。

そして、著者は結論する。
神は人間に「仕事」を担わせ、私たちはそのことによって、地上における究極的な喜びと楽しみを見いだせなくなる、と。

一生涯、享楽を求めて過ごした後、伝道者は問う。
「それがすべてだろうか」と。

彼が見つけた一瞬の平安と満足も、迫りくる死の脅威によってあっけなく打ち壊された。

伝道者によれば、神のいない人生に意味はなく、そして、私たちは神ではないのだから、決して完璧な意味をもつこともない。

それでも、神は「人の心に永遠を与えられた」。

私たちはこの世のもの以上の何かに憧れを抱いている。
それは、永遠に続く楽しみ、不愉快なものにならない愛、退屈ではなく仕事の充実感である。

伝道者はこうして二つの状態の間を行ったり来たりする。
絶望に引き寄せられつつ、それを超えた何かにも引っ張られる。

日記にもよく似て、伝道者の書は著者がバランスを追求したことを記している。
その緊張はこの3章では解決されず、解決されること自体あるかと疑う読者もいる。

けれども、この書の最後に、伝道者の知恵のすべてを集約した言葉が書かれている。

「神を恐れよ。
神の命令を守れ。
これが人間にとってすべてである」。

God Bless You!!


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