2023年10月24日(火)
『ソロモンの愚行』
想像できるかぎりのあらゆるものが思いどおりになり、ソロモンは最初は心から喜んで神に従おうとしていたようだ。
列王記第一の8章にある、神殿を神に献げたときの祈りは、尊厳に満ちている。
しかし治世の終わるころ、ソロモンは自らに与えられたこれらの恵みをほぼ使い果たしていた。
かつてロマンチックな愛を歌った詩人が、今や記録破りの乱交に耽っていた。
合計700人の妻と300人のそばめがいた!
あれほど多くの箴言を作った賢者が、他に匹敵する者がいないほどの放縦でその箴言を愚弄した。
そして、かつて神の宮を築くほど篤い信仰をもっていた男は、異国出身の妻たちを喜ばせるために最後の恐るべき一歩を踏み出した。
神の聖なる都に偶像崇拝を持ち込んだのだ。
ソロモンは一代で、神に頼ってかろうじて生き延びる王国から、自力で生きる政治大国にまでイスラエルを導いた。
しかしその途上で、イスラエルの民が神から召された目的を見失った。
皮肉なことに、ソロモンの晩年、イスラエルは、かつて逃げ出したエジプトと似た国になっていた。
肥大化した官僚制度と奴隷労働によって保たれ、統治者の命令で国家の宗教が決められる帝国だ。
この世の王国での成功が、人々の中から神の国への興味を締め出した。
契約の民がもっていた束の間の幻は色褪せ、神の支持は取り消された。
ソロモンの死後、イスラエルは分裂し、破滅に向かって転げ落ちていった。
オスカー・ワイルドからの引用が、ソロモンの墓碑銘に最もふさわしいかもしれない。
「この世には二つの悲劇があるだけだ。
欲しいものが得られない悲劇と、欲しいものを手に入れた悲劇である。」
ソロモンは欲しいものは何でも手に入れた。
特に、地位と権力を象徴するものはすべて。
そして、次第に身の周りのものに頼るようになる。
世界最大のハーレム、神殿の倍以上ある家、たくさんの戦車を所有した軍隊、底堅い経済力。
神に失望する危険性は取り除かれたが、同時に神を求める心も消え去った。
この世の贈り物を楽しめば楽しむほど、彼らはその贈り主について考えなくなっていった。
God Bless You!!
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