2023年10月20日(金)

2023年10月20日(金)


『中国の動揺』

2004年、北京で家の教会運動の代表者四人に取材した。
最も印象に残ったのがブラザー・シーだ。
クリスチャンらしくない利発で情熱的な44歳の農夫だった。

シーは十代で地元の共産主義者青年同盟の代表となり、その後は紅衛兵として活動した。
党本部に行く道すがら、毎日、人であふれた「三自教会」のそばを通り過ぎていた。

ある日礼拝に出て、クリスチャンの力強い証しを聞いて、いっそう当惑した。

聖書を買って最後まで読んだ。
数か月後、党総書記に、「クリスチャンになります」と伝えると、おまえは昇進する機会を逸し、輝かしい未来を投げ捨てようとしている、と怒鳴られた。

シーが部屋を出ると、総書記はシーの父親にこの裏切りを電話で報告した。
父親は、帰って来た息子を玄関で罵った。

「おまえはたいへんな面汚しだ!
俺はクリスチャンの蒋介石や韓国のクリスチャンを相手に戦った。
その俺の家に、イエスがいるなんて!」

父親はシーを家から追い出し、持ち物を外に放り出した。
シーは友人の事務所に数日泊まった。

道で出会った父親に声をかけようとしても、顔を背けられた。
十年後、孫が奇跡的な癒しを経験すると、シーの父親もようやく態度を和らげ、今ではクリスチャンになっている。

ブラザー・シーは、警察の手を逃げ続けなければならない。
「捕まったことはありません。
かくまってくれる教会があちこちにあるからです。
警察がやって来るわずか三分前に逃れたこともありました。」

その巧みなリーダーシップにより、シーはその地方で26万人のクリスチャンをまとめている。
妻も著名な教会指導者だが、会えるのは年に一度だけだ。

中国へ行く前、私は、1950年に国外追放された宣教師に会っていた。
彼はこう言った。

「私たちは国に残してきた教会を気の毒に思いました。
彼らには教えてくれる人も、印刷機も、神学校も、診療所や児童養護施設を運営する人もいませんでした。
本当に何の手立てもなかったのですが、聖霊だけはおられました。」

聖霊が十分な働きをしてくださったのだ。

God Bless You!!


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