2023年10月2日(月)

2023年10月2日(月)


『意外なチャンピオン』

当時米国公衆衛生局長だったC・エベレット・クープにもインタビューしたことがある。

クープは確かに福音的なクリスチャンだった。
フランシス・シェーファーと組んで、保守的なキリスト教団体が人工妊娠中絶合法化反対論争を起こしたときも一役買っている。

クープは「国の医師」としてエイズ患者を見舞った。
がりがりに痩せて衰弱し、身体中に紫色の傷がある人々を見て、医者としてもクリスチャンとしても、患者たちに深く同情するようになった。

以前から、特権を奪われた弱い立場の人たちのために働く誓いを立てていた。
エイズ患者ほど弱く、特権を奪われた人々はこの国にいなかった。

クープは七週間にわたり、ジェリー・ファルウェルの教会、全米福音放送連盟の大会、ユダヤ教やローマ・カトリック内の保守グループなど、宗教団体だけに話をした。

それらの講演会は完全に公衆衛生局の主導でなされたが、クープは信念をもって、禁欲と一夫一婦婚の必要を主張した。

しかし、「私は異性愛者と同性愛者、若者と老人、道徳的な人と不道徳な人両方の公衆衛生局長です」とも付け加えた。

仲間のクリスチャンにはこう諭した。
「罪を憎んでも、罪人は愛するべきではないのかね。」

クープ個人は性的混乱を嫌悪していると言って憚らなかった———同性愛行為に言及するときは必ず「ソドミー」(sodomy)という言葉を使った———が、公衆衛生局長としては、議員に働きかけて同性愛者を思いやった。

ボストンで一万二千人のゲイに向かって講演を行ったとき、「クープ!クープ!クープ!クープ!」と自分の名を連呼する同性愛者たちに、信じられない思いであった。

「彼らは同性愛行為についての私の発言を知りながら、驚くほど強く支持してくれた。
私がすべての国民の公衆衛生局長であると公言し、同性愛者に直接会おうとしているから、そして同性愛者へのあわれみを呼びかけ、彼らをケアするボランティアを募っているからだろう。」

クープの思想に妥協は見いだせなかった。
今も「ソドミー」という感情的な言葉を使っている。
しかし、彼ほど同性愛者に温かく受け入れられている福音派のクリスチャンはいない。

God Bless You!!


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