2023年1月13日(金)
『メシア目撃』
1993年ニューヨークのブルックリンにあるクラウンハイツ地区で起きた。
「メシア目撃」のニュース記事を読んだ。
クラウンハイツには2万人ものルバビッチ派のユダヤ人が住んでいるが、その多くが1993年に、同地区に暮らすラビ・メナハム・メンデル・シュニアソンという人間にメシアが宿っていると信じ込んだ。
ラビが公の場に姿を現すという噂は、燃えさかる炎のようにクラウンハイツの隅々に広がり、黒いコートを着て、もみあげをカールさせたルバビッチ派の人々は、ラビがいつも祈りをささげているシナゴーグに押し寄せた。
91歳のラビは前年に脳卒中を患い、話をすることができなくなっていた。
ついに幕が開いたとき、シナゴーグに大挙していた人々が目にしたのは、長い髭をはやした弱々しい老人だった。
手をふったり、首をかしげたり、眉を動かしたりするのがやつとだつた。
だが聴衆はだれも気にしていないようだった。
「長生きしてください。
わが主、わが師、わがラビ、王、メシア、永遠に、永遠に!」と声を合わせて何度も歌い、歌声はどんどん大きくなった。
やがてラビが手で小さく曖昧なしぐさをすると、幕は閉じられた。
聴衆はその瞬間を味わいながら恍惚状態のままゆっくり会場を後にした。
その記事を読んだとき、大声で笑いだしそうになった。
この人々はだれをからかっているかって?
ブルックリンの口をきかない90歳のメシア(1994年に他界)だって?
ところがその後、こんな思いに打たれた。
ラビ・シュニアソンに対する私の反応は、一世紀の人々がイエスに示した反応にそっくりだ。
ガリラヤ出のメシアだって?
たかが大工の子どもじゃないか。
このラビと熱狂的な信者たちの記事を読んだときに感じた思いが、イエスが生涯を通じて会った人々の反応についての手がかりを与えてくれた。
イエスの隣人たちは、「この人は、こんな知恵と奇跡を行う力をどこから得たのだろう。
この人は大工の息子ではないか。
母はマリアといい、弟たちはヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか」と言った。
ほかの同郷人は嘲ってこう言った。
「ナザレから何か良いものが出るだろうか」と。
イエス自身の家族も、彼は正気を失ったと思い、遠ざけようとした。
ユダヤ教指導者たちはイエスを殺そうとした。
人々は振り子のように揺れ動き、イエスのことを「悪霊につかれておかしくなっている」と言ったかと思えば、力ずくでイエスを王にかつぎあげようとした。
God Bless You!!
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