2023年4月8日(土)

2023年4月8日(土)


『召使いの長』

ジョージア州プレーンズの観光ルートに、かつてジミー・カーターの住んでいた公営住宅がある。
カーターは貧しい出自でありながら、1976年、世界の最高権力者にまで上りつめた。

華々しい出世も、次の大統領選に敗北すると一転した。
1980年の選挙でドナルド・レーガンに敗れると、敗残者としてプレーンズに戻り、仲間の民主党員に軽蔑され、いくつかの世論調査では史上最悪の大統領と名指しされた。

任期中は絶対の信頼を得ていた家業も、百万ドルの負債を抱えた。

その不安定な足もとから、カーターは再スタートする。
借金返済のために本を執筆してから、アトランタにジミー・カーター・センターを創設し、己の信じる企画の推進に着手した。

何より人権を重んじるその姿勢が、多くの開発途上国から偉大なる指導者として期待を集めた。

カーターはその期待に応え、民主的なプロジェクトによって世界中の選挙を監視するという目を見張るようなことを実行した。

設立されて間もない「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」を支援すると、このNGOに注目と基金が集まるようになった。

カーターの基金は、貧しい国々を苦しめている主要疾患の撲滅に照準を合わせ、ドルと専門知を動員して問題に立ち向かい、ギニア虫感染症と河川盲目症はほぼ撲滅された。

カーターは毎週末、街にいて、教会学校でも教えた。
マラナタバプテスト教会の献金皿の裏には「J.C.」の頭文字が彫られている。

元大統領は、教会学校でテレビ台を自作したように、自身の木工所でも作業をした。
一か月おきに教会の草刈りをし、教会のトイレはロザリン夫人が掃除した。

カーターの評判は回復した。
彼は世界の指導者たちとファーストネームで呼び合う関係をもち続け、行く先々で尊敬と注目を集めた。

今や最も称賛されている元大統領の一人に挙げられているとは、まさに驚くべき逆転劇だ。

ほかの大統領はホワイトハウスを去ると、ゴルフを楽しんだり、有名人の地位を利用したりしているが、カーター一家は奉仕に身を献げてきた。

その成果を見ると、福音書でいちばん多く繰り返されているイエスの言葉が思い出される。
「自分のいのちを救おうと思う者はそれを失い、わたしと福音のためにいのちを失う者は、それを救うのです」。

God Bless You!!


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