2023年4月7日(金)

2023年4月7日(金)


『スキャンダルな香り』

恵みは水のように、最も低い場所に向かって下へ下へと流れて行く。
ジョン・ニュートンほど、この原理を具現化した人はいないだろう。

彼はおそらく歴史上最も愛されてきた賛美歌作者である。
およそ230年前に書かれた「アメイジング・グレイス」は、今も歌い継がれている。

ジョン・ニュートンは帝国海軍への入隊を強く求められながらも、それに従わず、奴隷商人となった。
悪い仲間たちの間でも、口の悪さと神への不敬で有名で、暗く残酷な奴隷貿易で、大西洋を横断し、最後は船長にまで上りつめた。

ところが外海で劇的な回心を遂げ、恵みの道を歩みだす。
神学を学び、英国国教会の教区牧師に任命される。

彼はそれが身に余ることであることを忘れることもなければ、否定することもなく、その後ずっとそのことを書き残している。

イングランドのオルニーへ異動した直後の日記にこう記している。
「主よ、あなたは背教者に、あなたの子どもたちの間での名前と場を与えてくださいました。
不信心な者を福音の働きに召してくださいました。」

ジョン・ウェスレーやジョージ・ホイットフィールドらの指導を受け、ニュートンは高名な説教者となり、最後は奴隷制廃止運動の指導者になった。

悩み多い若き詩人ウィリアム・クーパーと親しくなり、心の病で自殺未遂を起こしたときには援助の手を差し伸べた。

その間、ニュートンは霊の指導者として、著名な政治家ウィリアム・ウィルバーフォースに仕え、大英帝国の奴隷制廃止を求める四十年にわたる闘いの貫徹を励ました。

ニュートン自ら議会に出て、奴隷貿易の恐怖と不道徳性について、反駁できないほどの証言をしている。

ニュートンは生涯、反対と嘲笑、批判に直面した。
福音に対するその熱い思いを嘲笑する人もいれば、友人ウィリアム・クーパーの仕事を助けるどころか質を落としていると非難する人もおり、奴隷廃止運動は過去の罪意識を軽減するためだと言われもした。

ニュートンは自己弁護をしなかったが、自身の良いところはすべて神の恵みの働きによると言っていた。
そうしながら、しっかりと聖書の伝統に立っていた。

聖書の中の偉大な英雄たちには、殺人者で姦淫者(ダビデ王)、裏切り者(使徒ペテロ)、クリスチャンの迫害者(使徒パウロ)もいたからだ。

恵みはいつでもスキャンダルな香りがする。

God Bless You!!


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