2023年3月6日(月)

2023年3月6日(月)


『ミミズのようなもの書き』

「作家とは社会のミミズのようなものだ」と言った作家がいる。
彼女によると、「私たちは土壌に空気を含ませる」。

もの書きは腐葉土すなわち人間の中にトンネルを掘り、空気と光を含ませ、同時に読者が自分で満たせるような空間を作り出す。

書物には、ある作法がある。
穴を掘るミミズはあなたの目にはわからないが、自分たちに同意するようにと、あなたを促しているのだ。

ミミズは泥を消化しながら先へと進む。

私は長年、教会やキリスト教の集会に出るときは、いつも自分を守るために鎧を着ていた。
クリスチャンの講演者に対する私の信頼度は、玄関口にやって来るエホバの証人に人々が抱く程度のものだ。

私は彼らの手口を嫌というほどわかっている。
弦楽器のように感情に働きかける演奏能力、舞台裏での偽善など。

けれども、書物となると話は別だった。
私は操作されることなく、真実のものに心を動かされながら、自分のペースで読み進めることができた。

書物は宗教作家を正直にさせる。
講堂の扉に鍵をかけたり、聴衆を脅したり、トランス状態に入ったりすることはできない。

ページの上に生の言葉を置くと、言葉自身が語りだす。
それで、リズ・カーティス・ヒッグズはC・S・ルイスの『キリスト教の精髄』を試しに一ページだけ読み、もう一ページ、さらにもう一ページと読み進め、やがて一冊を読み終え、信仰に戻って行った。

チャック・コルソンの場合、状況はかなり異なるが、同じ本を手に取ったとき、奇妙にも、自分の霊の病がプライドであることを著者に看破された。

オックスフォードの特別研究員C・S・ルイスは、リズ・カーティス・ヒッグズやチャック・コルソンのような人を念頭に、『キリスト教の精髄』を書いたとは思えない。

ルイスは、第二次世界大戦で荒廃したイギリスに、希望と霊の刷新をもたらそうとしてラジオで講演を行っていた。

自分の経験から素直に語らせてもらうが、もの書きは、自分の書いたものにだれが応えるか、それらがどれほどの影響をもつか、全くわかっていないのだ。

God Bless You!!


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