2023年1月29日(日)
『真の謙虚さ』
ブランド博士と私は奇妙なコンビだった。
博士は礼儀正しい銀髪のイギリス人外科医、私は血気にはやる20代半ばの、アート・ガーファンクルのようなアフロヘアのジャーナリストだった。
私は、俳優、ミュージシャン、政治家、成功した実業家、オリンピック選手、ノーベル賞受賞者、ピユーリッツァー賞受賞者など、多くの人を取材してきた。
しかし、ブランド博士には、それまで取材しただれよりも深いレベルでひきつけられた。
私は、一歳の誕生日を迎えた直後に父を喪っている。
ブランド博士はいろいろな点で私に父親のイメージをつかませてくれた。
博士に出会ったときには、すでに十代の反抗期や、個性を確立しようとする苦しみを通り抜け、大人になっていた。
出会った初日から、私は博士の弟子となった。
初めて正真正銘の謙虚さに遭遇したと思う。
使徒パウロは謙虚さのお手本としてイエスを指し示した。
「キリスト・イエスのうちにあるこの思いを、あなたがたの間でも抱きなさい。
キリストは、神の御姿であられるのに、神としてのあり方を捨てられないとは考えず、ご自分を空しくして、しもべの姿をとり、人間と同じようになられました」。
ブランド博士と出会って、自分が謙遜を否定的なセルフイメージと取り違えていたことに気づいた。
ポール・ブランド博士は明らかに自分の賜物を知っていた。
学歴を見ると、常に首席、自身の業績を讃える多くの受賞祝賀会にも出席していた。
しかし、博士は自分の賜物を賜物として、いつくしみ深い創造主からの「贈り物」として確かに認識し、その賜物をキリストのように奉仕に用いていた。
初めて会ったとき、ブランド博士は米国の暮らしにまだ馴染めずにいた。
贅沢なものに神経質になり、土壌に近い簡素な暮らしをいつも恋しがった。
博士は、大統領も王様も、セレブたちのことも知っていたが、そうした有名人の名前をめったに口にしなかった。
最も感動したのは、私の出会ったなかでだれよりも賢く素晴らしい人が、生涯のほとんどを、この世で最も身分の低い人々とも言えるハンセン病に冒されたインドの不可触民(ダリット)たちに献身的に奉仕していることだった。
God Bless You!!
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