2021年2月9日(火)
『「見よ、ここだ」とか、「あそこだ」とか言えるようなものではありません。見なさい。神の国はあなたがたのただ中にあるのです。』ルカの福音書17章21節
淡路島の福良に、大江清助という男が住んでいました。
彼は村一番の嫌われ者でした。
警察にひっぱられても、悪賢いので、すぐに釈放されました。
「脳みそがひとさじあれば、法律なんてものはくぐれるんや」とうそぶいていました。
3人目の子どもができたとき、産後の肥立ちが悪く、妻は死んでしまいました。
しかし、だれも後妻にきてくれません。
小学2年の女の子を頭に、5才の男の子、それに赤ちゃん。
これでは漁にも出られません。
思い余って一家心中しようと、出刃包丁を握りました。
小さい子どもから殺そうと出刃包丁をふりあげると、隣に寝ている子どもが「こわい!」と叫ぶではありませんか。
見るとよく眠っています。
また、包丁をふりあげると、「こわい!」と寝言で言います。
こうなると、気をそがれて殺せません。
「ええい、どうにでもなれ!」とそのままドシンとひっくり返りました。
すると棚から一冊の本が落ちてきました。
なんの気なしに広げてみると、「空の鳥を見よ」と書いてあります。
聖書販売人から買った新約聖書でした。
翌日、隣村にいる小野田牧師をたずねて、この意味を聞きました。
「その次が大切なんですよ。
まかず刈らず、倉をも納屋をも持たず、天の父はこれを養いなさる。
ましてなんじらをやと書いてあります。
あなたはスズメよりましでしょう。」
「ええ、なんぼ悪くてもスズメよりましです。」
「ならば心を入れかえてお詫びをしなさい。天の父が心配していてくださるんですよ。」
そこで彼は心から悔い改めて神を信じました。
家に帰ってみると、子どもが兄弟げんかをして大騒ぎの最中です。
赤ちゃんも火がついたように泣いています。
そこで5つの息子と小学2年の娘に、「お父ちゃんが悪かった。かんにんしてや。
おまえたちのお母ちゃんをなくしてしもうて。
お父ちゃんは今日、心を入れかえて、神さまの子どもになったんや。
今まで、悪いお父ちゃんやった。かんにんやで。」と子どもに手をついてあやまりました。
すると上の女の子が、「お父ちゃん、うち、お母ちゃんの代わりして、赤ちゃんの世話をするよって、漁に出て」と言うではありませんか。
この家庭に神の愛と恵みが注がれるようになりました。
後に、村中の人が、「清助がおらへんたら、この村はやっていかれへん」と言って清助を尊敬するようになりました。
God Bless You!!
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