2021年1月26日(火)の手紙

2021年1月26日(火)


『すると主人はしもべに言った。『街道や垣根のところに出て行き、無理にでも人々を連れて来て、私の家をいっぱいにしなさい。』ルカの福音書14章23節


ある牧師が汽車に乗ると、その車両にはひとりの青年しか乗っていませんでした。
彼は青ざめた顔をして、車中を行ったり来たりして落ち着きがありません。

牧師は何か助言でもしてあげようと、彼の所へ行って話しかけました。
しかし、青年は牧師をちらっと一瞥しただけで何も言いません。

それでも心配がつのってきてどうしようもなくなったのでしょう。
しばらくしてから、牧師にぽつりぽつりと話し始めました。

「ぼくは長い間、自分のわがままから家出していましたが、もう疲れ果ててしまいました。
家出して好き勝手なことをして、ぼくが安らぐことのできる唯一の場所は、家族のいる家しかないことがわかったのです。

父に帰宅を許してくれるように手紙を書きましたが、何の返事ももらえませんでした。
それで、今度は母に手紙を出したんです。

『お母さん、返事をいただかないうちに帰りますが、もし許してもらえるなら、線路の端にあるリンゴ畑の木に赤い布をつけておいてください。
もし赤い布が見えないときには駅に降りないで、ぼくはそのままどこか遠くへ行ってしまうことにします。』

あと少しで駅になりますが、母の返事を見るのがとてもこわいのです。
もしも赤い布がなかったらと思うと・・・。』

牧師は彼に代わって見てやることにしました。

リンゴ畑が近づいてきました。
青年は、顔を下に向けてしまいました。

牧師が、車窓から外を見ているとリンゴ畑が見えてきました。
線路に一番近いリンゴの木に、しっかりと赤い布がはためいているではありませんか。
それも、我が子が見落としてはならないとの親心から、その木に何十枚と、まるで一面に花が咲いたようにひらひらとひるがえっていたのです。

God Bless You!!


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