12月25日(木)の手紙


クリスマスの祈り


遥か昔の事だった。
豊かな心を持つ貧しい男がいた。
クリスマスの近づいたある夜、男は夢を見た。
友に尽きる事のない富を与える夢だった。
目が覚めても、夢は男の頭の中をいつまでもかけめぐっていた。

やがて男は、ぽつりと言った。
「この世にあるどんなものでも、手に入れられるとしたら、いったい何を友に贈るだろう」
友に買う美しいもの、高価なものを心に描いた男は、微笑んだ。

しかし、男は思った。
「わたしは、このうちのどれひとつ持っていない。
だけど、こんなに満ち足りている」

そこで、男は考えた。
「本当の豊かさとは、お金のあるなしによらないのだろう。
きっとお金で買えないほどの値打ちのある贈り物があるに違いない」

夜の静寂の中で、男はクリスマスについて思いをめぐらした。
やがて、男は羽ペンを手にすると、羊皮紙の巻き物にむかった。

クリスマスの1日目に、君のために喜びを祈ろう。
あふれるばかりの喜びと、心うるおす笑い声を。
笑い声は病を癒し、喜びは魂を高く舞い上げる。

クリスマスの2日目に、君のために吐息を祈ろう。
心を晴らす深い吐息を。
人は吐息をつく時に、どうにもできない現実を受け入れるのだろう。

クリスマスの3日目に、君のために涙を祈ろう。
あふれる涙は目を澄み渡らせ、きらめく星を映してくれる。
流した涙は魂をきよめ、癒しの道へと進ませる。

クリスマスの4日目に、君のために静けさを祈ろう。
平和をもたらす静けさを。
争いも戦いも心の中で芽生え、心の中で芽をつまないといけないものだから。

クリスマスの5日目に、君のために知恵を祈ろう。
正しい決断へと導く知恵を。
知恵の声に従い、日々言葉と行いで賢く振る舞えるように。

クリスマスの6日目に、君のために忍耐を祈ろう。
苦難に打ち勝つ忍耐を。
じっと耐えているうちに、困難は過ぎ去り、辛抱強く待つ時に、成功は訪れる。

クリスマスの7日目に、君のために勇気を祈ろう。
雄々しく進みゆく勇気を。
行く手に誘惑や危険が待ち受けていても、まっすぐ問題に立ち向かえるように。

クリスマスの8日目に、君のために憐れみの心を祈ろう。
人の痛みを理解する憐れみの心を。
本当に人を助けられるのは、人を理解した時、本当に人を理解できるのは、同じ痛みを経験した時だから。

クリスマスの9日目に、君のために働く喜びを祈ろう。
夢を実現するために、すすんで働く喜びを。
その夢が君のものでも、君の助ける誰かのものでも変わりはない。

クリスマスの10日目に、君のために信仰を祈ろう。
揺るがぬ確かな信仰を。
信仰は人としての生き方と、生きる目的を形作り、人を神に近づける。

クリスマスの11日目に、君のために望みを祈ろう。
心にあふれる豊かな望みを。
望みは心の在り方を定め、進むべき目当てとなり、生きる理想を作り出す。

クリスマスの12日目に、君のために愛を祈ろう。
心の底から湧き出る愛を。
暮らしの中で行き交う人に、いつも愛を与える事ができるように。

ひとつひとつ祈りながら、男は知った。
「私は何かを贈るつもりだったが、宝はすでに友の心の中にある。
どうかこの事に気付いてくれるように」

男が祈りの言葉を書くたびに、不思議な事が起こった。
祈りは友のために捧げられたが、男の心にもしっかりと刻まれた。
すると、祈った通りの事が、男の人生に実を結ぶようになった。
クリスマスの祈りを、男は書き写し、大切な友に贈った。

時の流れの中で、クリスマスの祈りの物語も、いつしか忘れられた。
男の噂は、二度と聞かれなかったが、時が経つと、クリスマスの祈りは世界のあちこちにあらわれた。
ひなびた村に住む人も、にぎやかな街に住む人も、クリスマスが来ると、羊皮紙の写しを友から贈られるのだった。
こうして、不思議な事はますます増えていき、ようやくクリスマスの祈りは、あなたの手もとにたどり着いた。

クリスマスの祈りを
豊かに味わい
あなたの心も暖かくなりますように。

God Bless You!!


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